八戸童話会 創作童話集 おとぎの森No.4 より
ぞくぞく村には、オバタンというまじょがいます。元気いっぱいの人を、とつぜんかぜにしてしまうことができるし、薬草をにて、わらい薬を作るのなんかかんたんです。でも、オバタンはほうきにはのれません。まじょといえばほうきだなとわたしはすぐ思うのに、そのほうきにのれないなんて、だらしないなと思いました。けれど、オバタンは、
「いや、きっとわたしにもできる。」
といって、テーブルにつきました。まずははらごしらえです。人がたパンを、食べて食べて三十六まい。わたしはすごいなぁと思いました。つぎは、ほうきにのるれんしゅうです。オバタンは、ねことこうもりとかえるととかげをかっています。れんしゅうするときは、かならず1ぴきだれかをつれていきます。今日は、トカゲのペロリをつれていくことにしました。いよいよ、オバタンのれんしゅうがはじまりました。オバタンは、
「ブックサブックサ、グチグチ、ネチネチ、イジイジ、グズグズ、ガーガー、ギャーギャー、ブーブー、ブータラ、ガミガミ、ドカン。」
というふうにじゅもんをとなえました。すると、ほうきはどっこいしょというふうに持ち上がり、重そうに飛びはじめました。右へ左へヨロヨロと。わたしは、落ちそうなオバタンを見て、ハラハラしました。すこし飛んでいくと、ぐらりぐらりとうえにあがっていき、急にに下に落ちていきました。ミイラのラムさんにぶつかったり、どっきり広場の町をみんなこわしてしまったり、しまいには、そのまま落ちて行き、べろべろの木にドーンとぶつかってしまいました。わたしは、あちゃーと思いました。びっくりした町の人たちは、みんなでオバタンを家までもっていってあげました。
つぎの夜、ドンドンドンと、げんかんにだれかがやってきました。少しのぞいてみると、みんな、ほうきにのったオバタンにひどい目にあった人ばかりでした。そして、オバタンのところまできて、おこりながら、
「このかんばんの、人がたのところをくぐりぬけれるようになるまで、ほうきにのるな。」
といって、かんばんをおいていってしまいました。
ムリそうな顔をしていたオバタンに、ペロリたちが、
「やればできる。」
とはげましてくれたので、オバタンは、その日から、体そうなどをしてやせました。百日目にかんばんをくぐりぬけられたのです。ほうきにのると、もうかるがるだったそうです。
わたしは、百日目まで、あきらめないでよくがんばったなぁとかんしんしました。きっと今ごろは、みんなでお月さまのかけらをとってきて、クッキーを作って、たくさん食べているんだろうなぁと思います。